2025年3月 Akagi Lab 活動紹介~国際交流が広げる研究の世界そして旅立ち
- Akagi Lab
- 3月30日
- 読了時間: 4分
桜のつぼみが膨らみ始めた3月。Akagi Labにとっては国際交流と学生たちの新しい旅立ちの季節です。次のステージへの準備が進む中、研究室では様々な活動が行われました。
■タイKMITLやアメリカUCSFとの国際学術交流
3月2日から6日にかけて、私は本学の教員海外派遣プログラムに参加し、タイのモンクット王工科大学ラートクラバン校(King Mongkut's Institute of Technology Ladkrabang, KMITL)を訪問しました。「The KMITL-FIT Joint Seminar」では、「Exploring the Frontiers of Stem Cell Biology」というタイトルで講演する機会をいただき、私の研究内容の概要を紹介しました。
以前より交流のあるBiomedical EngineeringのDr. Wibool Piyawattanamethaとも再会し、国際学会の開催について意見交換するなど、実り多い時間を過ごすことができました。また、KMITL FACTory Classroomでは博士課程の大学院生と新たな交流が生まれ、今後の共同研究への道が開かれました。
滞在中、空き時間を利用してバンコク市内も視察することができました。歴史的建造物が数多く残る都市の中でも、特にエメラルド寺院(ワット・プラケオ)の荘厳さに感動しました。仏教を中心とした宗教文化を大切にしながらも、目覚ましい経済発展を遂げているタイの姿は、伝統と革新のバランスを考えさせられました。
東南アジア諸国連合(ASEAN)の一員として、タイは地域の発展において重要な役割を担っています。ASEANの経済共同体構想の下、人材交流や技術協力が活発化する中、私たちの大学も積極的に参画していくことの重要性を改めて実感しました。
私がタイを訪問していたのと同じ時期に、4年生の朝長君はサンフランシスコへ研究室見学に出かけていました。以前より交流のあるカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究室2か所を訪問し、アメリカでの研究推進方法を肌で感じてきたようです。彼の貴重な経験は、別途「アメリカでの研究室訪問が開いた新たな視野―Beyond Akagi Lab」で詳しく紹介していますので、ぜひそちらもご覧ください。
■学内セミナーでの成果発表
帰国後は学内で開催された2つのセミナーに参加しました。第3回学内研究コミュニティ交流会では、FIT Techプログラムの3年生、仁藤君が「マウスES細胞からのイソクエン酸脱水素酵素(IDH)cDNA単離の試み」というタイトルで口頭発表を行いました。まだ3年生でありながら、専門性の高い研究テーマに挑戦する姿勢は、他の学生たちにも良い刺激となったと思います。
また、第37回FD Café「分野横断の学びが学生にもたらすもの」では、4年生の朝長君が「学生目線で見た講義でのXRCCの活用と可能性」というタイトルで発表しました。学生自身の視点から教育環境の改善について提言する姿は、教員としても大変参考になりました。
私からも同セミナーで「クロスリアリティ技術を利用したメタバースでの学修過程可視化及び教育手法のDX推進」というタイトルで発表し、XRCC空間を利用した生命科学教育の新たな取り組みについて紹介しました。従来の教室での学びに加え、仮想空間を活用した教育手法は、特に生命科学のような複雑な三次元構造の理解に役立つことが期待されています。
■卒業式と新たな旅立ち
そして3月20日、いよいよ卒業式を迎えました。学部生8名、大学院生2名を送り出す日となりました。就職活動と並行しながらの研究活動は、決して簡単ではなかったと思います。それでも多くの学生が上手に時間をやりくりし、無事に卒業の日を迎えることができました。
卒業式では、私は学科長として挨拶する機会をいただきました。「社会人になったら自ら目標を立てることの大切さ」や「目標達成が難しく思えても、あきらめずに方法を見直せば意外と容易に達成できることもある」という内容のスピーチをさせていただきました。大学での学びと社会での実践は異なる面も多いですが、問題解決のアプローチという点では共通するものがあります。卒業生たちが困難に直面したとき、この言葉を思い出してくれれば幸いです。
当研究室の卒業生たちの進路は、医薬品開発業務受託機関や医療機器分野、食品開発分野、そして大学院進学など多岐にわたります。それぞれが自分の興味や強みを活かした道を選び、新たな一歩を踏み出す姿を見るのは、指導教員として誇らしく感じます。
Akagi Labのインスタグラムでは、映画のエンドロールを模して、卒業生の写真を交えながら各自の研究テーマを紹介する形で、1年の締めくくりの動画を作成しました。
桜の花も開花し満開を迎えた今、いよいよ新年度が始まろうとしています。4月からは新たに学部生8名、大学院生1名を迎え入れる予定です。どのような研究室になるのか、今から心待ちにしています。

2025年3月30日撮影
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