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  • 執筆者の写真Akagi Lab

高校生・受験生の皆様へメッセージ

■自己紹介

 当研究室のwebサイトにお越しいただきありがとうございます。改めまして、赤木紀之と申します。

 私は2020年4月に本学に着任しました。これまで学生時代も含め横浜市立大学、東京大学、UCLA/シーダス・サイナイ医療センター、金沢大学と様々な大学で研さんして参りました。これまでの歩みを海外日本人研究者ネットワーク(UJA)のnote「私のキャリアパス」で紹介しております。是非、そちらもご覧頂ければと思います。


■高校生・受験生に知ってもらいたいこと

 ここでは私が皆さんに是非、知ってもらいたいことを、私なりの言葉で紹介しています。大学生にも読んでもらいたいと思っています。大学選び、研究室選びの参考になれば幸いです。


■日本の国際競争力の現状

 ニュースなどで見聞きしたことがあるかもしれませんが、日本の科学研究はこの10年間で失速したと言われています。大学院進学者の減少、研究費の削減、大学教員の研究時間減少などなど、一つの理由ではなく、様々な要因が積み重なって今の状況になったと考えられています。それに伴い、我が国の国際的な競争力も低下していると指摘されています。


■競争に負けるとどうなるか

 国際的な競争力が低下し、日本が諸外国に“負ける”とどうなるのでしょうか?外国から新しい製品が生まれ、外国産のものばかりが売れてしまいます。


 最近の例でいうと、新型コロナウイルスに対するRNAワクチンは、外国の企業により開発されました。我が国はこのワクチン購入のため何千億円というお金を支出しています。もし日本でワクチンが開発できていたら、諸外国からその額のお金が日本に入ってきていたのかもしれません。もしそうなっていたならば、国内での雇用が増え経済も回復し、我が国の教育・子育て・医療など、様々な社会福祉制度の充実が図れたかもしれません。


■どうやって競争に勝つか

 日本は島国で面積も小さく資源に乏しい国です。地面を掘って石油でも出れば、それを輸出し、日本製品を売らなくても、経済的に安定が期待できたかもしれません。残念ながら、我が国はそういった資源がほとんどありません。


 では、どうやって国際的な競争力をつけてゆけば良いでしょうか。


 私は「人材育成」が競争力強化のカギだと考えています。人を育て世界で活躍できる人材を輩出することで、日本の競争力を回復できないかと考えています。幸い日本には基礎的な教育システムは整っています。このシステムをもっとうまく活用し、国際競争に立ち向かえる人材育成の推進が肝要だと考えています。


■どうやって人材育成するか

 突然ですが、大学は何をするところだと思いますか?私の別のブログで「大学は何をするところか」を掲載していますので、詳しくはそちらをご覧ください。


 端的に言うと、大学の使命は「教育」と「研究」そして「社会貢献」です。この使命を鑑み、私は大学教員として「研究を通した人材育成(教育)」を推進したいと考えています。


 私の研究室では多能性幹細胞の自己複製機構や、転写因子の遺伝子変異による免疫異常の分子機構の解明に取り組んでいます。どちらも基礎的な研究です。将来、社会的波及効果の大きな成果が得られるかもしれないし、得られないかもしれません。従って、今すぐ社会に役立つというわけではありません。


 こういった基礎研究には、単に研究の推進ばかりではなく、「人材育成」という大きな役割があります。研究活動を遂行することで、「問題を発見し、解決方法を見出す」というチカラが育まれます。「知的好奇心を探求する人材」の育成が、日本の研究力・国際競争力の強化に貢献できると考えています。


■どうやって競争力強化を図るか

 学生さんは「先生から習う」だけでは終わってはいけません。大学で学んだことを基盤にして、社会で活躍して欲しいと願っています。「社会」とは日本国内だけではなく、海外も含めて自分の活躍の場を探して欲しいと思っています。


 高校生や大学生、若手研究者のみなさんには、是非、海外留学を経験して欲しいと私は考えています。留学促進活動の一つとして、私は海外日本人研究者ネットワーク(UJA)の活動にも取り組んでいます。UJAでは留学関連の情報を発信したり、留学イベントを開催したりしています。


 海外で生活することで、人的なネットワークが広がり、異文化を体感し、世界がどれほど多様性に満ちているかを知ることができます。一人でも多くの若い人が海外生活を経験することで、将来的には日本の国際競争力の強化につながると信じています。いろいろな大学で国際連携を進めているのも、こういった効果が期待できるからです。


■最後に

 知的好奇心や学術的好奇心を探究できるのは、人類だけに与えられた特権です。基礎研究とは人類の歴史のまさに「礎」です。研究成果を今すぐ社会へ還元できなくても、その研究がきっかけとなり、新たな発見につながるかもしれません。目の前の事象を、一つ一つの丁寧に解き明かしてゆくことが大切だと思います。


 大学を卒業して、企業に就職することが、学生の皆さんにとっては大切な目標です。その目標は大切にしつつ、せっかく大学に入学するのです。自然科学一般を広く学び、その中で自分の専門性を深め、4年間で何か一つキラリと光るものをつかむ。そういう学生生活を送ってみませんか?


 講義室や研究室で皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。



福岡工業大学工学部

生命環境化学科 教授 

赤木紀之 博士(医学)





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