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第3回 あなたのトリセツ、作ってみませんか ―自分を言葉にするということ―

  • 執筆者の写真: Akagi Lab
    Akagi Lab
  • 21 時間前
  • 読了時間: 4分

■「トリセツ」という歌

自分の機嫌や感情のパターン、接してほしい方法を、恋人に向けて真剣に、でもどこかユーモラスに伝えた——それが西野カナさんの「トリセツ」という歌です。発売当時、「こんな歌い方があるのか」と私はちょっと驚きました。


この歌が面白いのは、自分という人物像を赤裸々に、そして具体的に言語化しているところです。「私はこういう人間です。だからこう接してください」——シンプルだけど、実はこれがとても難しい。


■「トリセツ」にまつわるもう一つのエピソード

以前、私が参加した結婚式の披露宴でのことです。新郎の職場の同僚たちが余興として「新郎の取扱説明書」をスライドで発表してくれました。技術系の職場ならではの表現で、「起動に時間がかかりますが、一度動き出すと止まりません」「エラーが出たときは再起動(昼寝)が有効です」といった具合に、新郎の人柄をユーモアたっぷりに言語化していました。


会場は笑いに包まれ、とても温かい場になりました。


あのトリセツが面白かったのは、長年一緒に働いてきた同僚たちが、新郎のことをしっかり観察し、言葉にしていたからです。本人でさえ気づいていなかった自分の特徴が、他者の目線から見事に言語化されていました。


■自分のことは、自分が一番わかっていない

「自分のことくらい、自分でわかっている」

そう思っていませんか。でも実際に「あなたはどんな人ですか?」と聞かれると、途端に言葉に詰まってしまう人がほとんどです。

自分のことは、意外と自分が一番わかっていないものです。


なぜか。


自分の特徴や価値観は、自分にとって当たり前すぎて、見えにくくなっているからです。以前のブログで「価値観は当たり前すぎて気づかない」という話をしましたが、これと同じことが自分という人物像全体にも言えます。そこで役に立つのが言葉にする作業です。


■なぜ、自分のトリセツを作るのか

自分のトリセツを作ることには、大きく三つの意味があると思います。


(1)自己理解が深まること

「書く」という行為は、頭の中でぼんやりしていることを言語化する作業です。「自分は誰かに感謝されるとやる気が出る」と思っていても、それを言葉にしようとすると、「具体的にどんな場面で?」「なぜそれが嬉しいのか?」と自問することになります。書くことで、自分への理解が一段深まります。


(2)他者との関係が変わること

自分のトリセツを相手に伝えられると、「わかってもらえない」というストレスが減ります。逆に相手のトリセツを知ることで、「あの人はああいう人なんだ」と理解が深まります。チームや職場で、お互いのトリセツを共有することが当たり前になれば、関係はずっとスムーズになります。


(3)将来の自分の土台になること

就職活動の自己PR、社会に出てからの自己紹介、チームでの役割分担——どんな場面でも、「自分はどういう人間か」を語る力は必要になります。今のうちに言葉にしておくことが、将来の大きな武器になります。


■ どうやって書くか

難しく考えなくて大丈夫です。


自分を表すキーワード、大切にしている価値観、強みと弱み、やる気が出る瞬間、苦手なこと、自分との上手な関わり方、そして自分を一言で表すキャッチフレーズ。


こういった項目を、思いつくままに書いていくだけです。以前のブログで書いた価値観やライフストーリー——これまでの作業がそのままヒントになります。完璧に書こうとしなくていいです。「今の自分」を正直に書くことが大切です。


カッコつけたり、誇張したり、事実とはちょっと違ったり、自分の理想像などは、書いてはいけません。冷蔵庫の「トリセツ」に「-30度まで冷やせます!」と書いて、実際には-20度までしか冷やせなかったらクレームがきてリコールものです。「正直」に書くことに大きな意義があります。


■トリセツは、これからどう活きるか

書き上げたトリセツは、ぜひ誰かに読んでもらってください。


「この部分、すごくあなたらしい」「これは意外だった」——そんな反応が返ってくるかもしれません。他者の目線を通して、自分への理解がさらに深まります。


そしてこのトリセツは、2-3年などある程度期間をおいて、もう一度読み返してみてください。きっと言葉が豊かになっているはずです。価値観がより明確になり、強みの解像度が上がり、自分のビジョンが見えてきた自分が、そこにいるはずです。


西野カナさんが「トリセツ」という歌で自分を言語化したように、あなたも自分だけのトリセツを作ってみてください。


あなたのトリセツ、最初のフレーズは何ですか?


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