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  • 執筆者の写真Akagi Lab

大学院講義の振り返り -TEDトークを活用してみる-

更新日:2022年2月3日

 2021年度後期の私が担当する大学院の講義(全15回)が終了しました。以前より私は、「英語教育」や「講義の英語化」には関心があり、いつかTEDを講義で活用したいと思っていました。


「だったら、この大学院の講義でやってみたらどうですか?」


 そう言ってくれたのは、なんとこの講義を受講している大学院生さんでした。私にとっては初めての試みのTEDトークを活用した大学院講義。講義内容の紹介も兼ねて、簡単な振り返りをしたいと思います。


■講義の全体像

 この講義は海外からのオンライン受講者も含め、10名の学生さんが履修してくれました。バイオ、食品、物質など、様々な研究背景をもつ学生さんたちです。最初の数回は私が講義をしました。残りの講義は学生さんで分担し、英語論文の文献紹介をプレゼンテーション形式で実施しました。各回、1人の学生さんがプレゼンし、それに対し「1人1質問」を原則として、全員が質疑に参加してもらいました。

 90分講義の中で、学生さんによるプレゼンは45分程度で完了します。残った45分はTEDを利用して、皆で英語の聞き取り練習をしました。

 そして最終回には、私から全員に対してプレゼンのフィードバックや、大学院生としてのこれからの心構えを紹介しました。


■講義で利用したTEDの紹介

 私にとっても初めての試みでしたが、今期は講義でTEDを利用してみました。TEDは様ざまな分野の人物がプレゼンテーションを行なうカンファレンスで、上質な英語を聞くことができます。

 この講義では「英語を学ぶ」ではなく、「英語で学ぶ」を最終目的とし、まずは1つでも多くの英単語を聞き取る訓練をしました。聞き取り訓練に選んだTEDトークは以下の2つです。


James Green


Bill Gates


 この2つのトークを選んだ主な理由は①10分程度で完了すること、②様ざまな研究背景をもつ学生の誰もが興味を示せるもの、という2点です。


■どのようにTEDを活用したか?

 いきなりTEDを聴いて理解するのは無理な話です。この講義では以下に示す3段階でTEDの聞き取り練習をしました。段階ごとに日を改めて実施し、2つのトークとも同じ方法を採用しました。


(1)ワークシートの活用

 第1週目はワークシートを事前に私が準備しました。そのワークシートには日本語で複数のクイズが記載されています。例えば「Q1 生命に必要な要素3つを言っています。その3つとは何でしょうか?」という具合です。TEDを聴く前に全員でワークシートのクイズを確認し、その答えを聞き取れるかどうか挑戦してもらいました。回答は英語でもカタカナでも日本語でも構いません。


(2)英語穴埋め

 次の週にはTEDの演者が発している言葉を、英文で全て書き起こしたプリントを準備しました。10分程度のトークなのでA4サイズで4枚程度です。ただし、この英文の中には何か所か空欄を設けておきました。英文の見ながらTEDを聴いて、空欄の英単語が聞き取れるかどうか挑戦してもらいました。これも回答は英語でもカタカナでも構いません。「どんな音が聞こえたか」を自覚してもらいました。

 全ての穴埋めの答え合わせをした後、もう一回TEDをみんなで聴きました。本当にその単語が発音されていたのか、確認してもらうためです。

 例えば「missile」という単語の箇所を空欄にしてみました。単語そのものは日本語で「ミサイル」ですが、TEDで聴くことで「nativeの人はこう発音するのか!」と知ることができます。


(3)日本語訳の推測

 第3週目には英文と日本語訳をside by sideに印刷したプリントを準備しました。今度は、日本語訳の方に何か所か空欄を設けておきました。TEDを聴きながら英文と日本語を照らし合わせ、前後の文脈から、その英単語の意味を推測してもらいました。

 例えば「infection」は専門用語に近い単語ですが、文脈から「感染」という訳にたどり着けるか、挑戦してもらいました。


■TEDの活用で効果はあったか?

 「英語で勉強する」という点では、2つのトークは学生の知的好奇心を大いに刺激したと思います。「宇宙に生命は存在するか」という疑問にはロマンがあります。また新型コロナウイルスのパンデミック前にプレゼンしたBill Gates氏の感染症に対する警鐘は、とても考えさせられました。

 「英語の聞き取りの訓練」という点でも、学生さんにはとてもよい切っ掛けになったと感じています。その点を次に紹介したいと思います。


■学生は英語に興味がある

 私が思っている以上に学生たちは英語に関心があることが分かりました。全員が真剣に取り組んでくれました。大学院の少人数クラスだったという点が良かったのかもしれません。これが40人くらいのクラスだと、また違った印象になるかもしれません。学生さんのアンケートからは以下の声が得られたことから、まずまずの成果だったのではないでしょうか。


『英語能力を高める機会はそうそうないので、すごく助かりますし、たくさんの知識が増えて楽しかったです。』


『こんなに長く英語を聞くことがあまりなかったので、とてもいい機会でした。単語と単語の繋がりを意識して聞くことが重要だと感じました。この気づきを大事にして、今後は自分で勉強していきます。』


『TEDを知らなかったので、授業で知ることができてよかったです。自分でアプリを入れてみて、気になるトピックを聞いたりして、リスニングにも活用しています。授業で聞き取りだけではなく、スピーキングもできればいいかと思います。』


他多数


■これから

 このスタイルでしばらくTEDを講義に取り入れてみたいと考えています。機会があれば、学部生の講義でも取り入れてみて、どういう反応がでるか調査したいと思います。英語に触れる機会を少しでも増やしていければと思います。

 このブログを読んでくれた皆様も、ぜひJames Green氏とBill Gates氏のトークを聴いてみてください。とても面白いです。



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