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  • 執筆者の写真Akagi Lab

新型コロナウイルス「オミクロン株」の出現で思うこと

私は医師でもなければ、ウイルス学研究者でもありません。本来、私のような専門外の人間が言及すべきことではないかと思います。


しかし、大学教員として自分の学生さん達には現状を知ってもらいたいと思いました。私なりの言葉で私の学生さん達に伝えるのも、大切な仕事の一つではないかと考え、「オミクロン株」の出現で改めて思ったことをブログに載せてみることにしました。

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2019年12月31日に原因不明の肺炎が世界保健機構(WHO)に報告されました。肺炎を引き起こしたウイルスはすぐに同定され、従来のコロナウイルスとは異なる新しい型であることが判明し、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と名付けられました。


このウイルスの感染により生じる感染症が「新型コロナウイルス感染症COVID-19」ですが、この「19」は「2019年」に由来します。


その後、このウイルスは変異を繰り返し我々人類を苦しめ続けています。これまで3000株以上が報告されています。特に注意すべき、もしくは懸念すべき株には、ギリシャ文字を充てて「アルファ株」や「ベータ株」と出現順に区別して呼ぶことになりました。


中でも「デルタ株」は世界中で猛威を振るい、我が国の第5波を引き起こしたのもデルタ株だと考えられています。


しかしながらワクチン接種が順調に進み、日本人のマスク文化なども相まって、我が国での新規感染者の数は、最近ではとても低く抑えられています。デルタ株以降も、ギリシャ文字の順番で「ラムダ株」や「ミュー株」まで報告されたものの、これらの変異株による大きな影響は出ていないように感じます。


もしかするとこのまま制圧できて、もとの生活に戻れるのではないか。そんな期待もどこかあったかもしれません。

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ところが2021年11月25日。南アフリカの保健相が新型コロナウイルスの新たな変異株を報告しました。この株は「B.1.1.529」と分類され、すぐに「オミクロン株」と名付けられました。WHOとしてはデルタ株に続く「懸念すべき変異株」として位置付けています。


オミクロン株の特性はこれから解析が進むことと思います。現段階(11月28日現在)で言えることは;


1. スパイクタンパク質に32か所の変異があること。

2. これらの変異により、感染・伝播性が高まる可能性があること。

3. これらの変異は、免疫逃避に寄与する可能性があること。

4. とはいえ、現在のワクチンでも一定の効果は期待できること。


のようです。


一般論として、ワクチン接種により新型コロナウイルスの感染リスクは大幅な低減が期待できます。我が国のワクチン2回接種率は76.5%と、とても高い割合を示しています。一方で南アフリカは24%と、まだまだ接種が十分に進んでいないのが現状です(2021/11/28現在)。こういった国々にもしっかりワクチンを届け、世界規模で並行してワクチン接種を進めない限り、ウイルスは変異を続けてゆきます。


心強い報道としては、各製薬会社は早速オミクロン株に対するワクチンの評価を始めているようです。ビオンテック社に至っては「必要な場合には、6週間以内にワクチンを再設計し、100日以内に初期ロットを出荷することができる」と述べているそうです。これまでの不活性化ワクチンや生ワクチンに比べ、RNAワクチンの方がデザインしやすく、より迅速に生産できます。RNAワクチンが実用化できたのは、とても大きな進歩だったとおもいます。


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2019年12月31日は我々人類にとって大きなturning pointでした。今回のオミクロン株がデルタ株を超えるような状況にならないことを切に願っています。これまで通り「マスク着用」「三密回避」「手洗い・換気励行」を意識し、感染リスクの高い行動を避けることが大切であることには変わりないと思っています。


なお、より詳しくは是非下記に示す専門家の方々の情報発信を参照して頂ければと思います。


国立感染症研究所の第一報(2021/11/26)


忽那賢志先生のブログ(2021/11/27現在)

宮坂昌之先生のブログ(2021/11/27現在)

outbreak.infoによるオミクロン株の遺伝子情報(11/28現在で未掲載)


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